一般社団法人 大阪ファルマプラン 民医連

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お知らせ 2023/04/19

当法人の薬局で取り組んだフレイル予防の臨床研究の成果が国際オープンジャーナル誌(BMC Geriatrics)に掲載されました

健康サポート薬局・地域連携薬局である大阪ファルマプランの薬局では、薬局利用者のフレイル予防についても取り組みを行っています。

70~79歳の慢性疾患で毎月薬局をご利用される患者さんを対象に、服薬指導の際にご自宅で運動エクササイズができる資料をお渡しする薬局群(介入群)と、通常の服薬指導を行う薬局群(通常ケア群:コントロール)に分けて、6カ月間介入を行いました。研究に同意された患者に対して登録時に体組成計を用いて筋肉量を測定し、同時に5回椅子立ち上がりテストを実施しました。そして、6か月後に再度同じ測定を行い、測定値の変化率を評価しました。

筋肉量の変化率は、介入群で1.08±7.83%(95%CI:-1.24-3.41)、通常ケア群で-0.43±2.73%(95%CI:-1.58-0.72)となり、介入群で増加傾向があることが示されました。また、6 か月後の5 回椅子立ち上がりテストの変化率は、介入群で-0.002±0.24%(95%CI:-0.09-0.05)、通常ケア群で-0.04±0.21%(95%CI:-0.13-0.07)でしたが、測定時間が1 回目と2 回目で速くなった患者は、介入群で65.2%、通常ケア群で 29.2%と有意差が認められました(p = 0.00563)。

薬局薬剤師が服薬指導に費やす時間は限られていますが、患者への情報提供が患者の行動変容を引き起こすことは、これまでに報告されています。今回の結果は、フレイル予防においても同様の可能性を示すエビデンスが得られたことに大きな意義があると言えます。

また、COVID-19 により患者の通院期間が延⻑する傾向にありますが、本研究では慢性疾患を持つ高齢者が毎月地域薬局を訪れる際に薬剤師が患者に関わることで、筋肉量の減少を防ぐことが可能であることを明らかにすることができました。すなわち、高齢者が毎月薬局のサービスを利用することで、社会とのつながりを維持する上でいかに重要かを裏付けるものであり、薬局が高齢者の「通いの場」として活用できることを示しています。

 

原著論文は下記のURLから参照できます。

https://bmcgeriatr.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12877-023-03858-6?fbclid=IwAR2AXVAqIv-fiU-RtRuFfV2jd1B4CGF20Z6Eb7GfbVnMUHPh_l39If9AMes

社会薬学研究所 廣田憲威