薬害イレッサ西日本訴訟に参加して
12/1、大阪地方裁判所で薬害イレッサ西日本訴訟の第24回裁判が行われました。イレッサはご存知の方も多いと思われますが、2002年に「夢の新薬」といわれ発売された肺ガン治療薬です。しかし発売後わずか1ヶ月にして間質性肺炎という副作用による死亡被害が多発し新聞などでも報道されました。今年の3月までに734人もの方が亡くなられています。2004年副用被害者らが国とアストラゼネカ社を相手取り薬害であるとして訴訟を起こされました。現在大阪と東京で裁判が行われています。
今回は特に、イレッサを新薬として承認するために審査を行われた責任者が証人でした。朝10時から始まって昼を挟んでの長丁場でしたが、都合で昼からの傍聴となりました。途中から聞いたせいもあるのでしょうが何を目的として今話しがすすんでいるのかよくわかりませんでした。医学用語など縁のない方はもっとわかりにくかったのではないかと思います。後ほど、報告集会で弁護士の方からかいつまんだ説明を聞いてようやく腑に落ちた感じです。
今回の反対尋問では、利益相反の問題や、医薬品審査のメンバーとチェックする承認審議メンバーが同じなど機構的な問題はないか、副作用症例のデータ変更がなされていたが、この時内容まで細かく眼を通したのか、承認前の広告がすさまじかったが承認時に影響は与えなかったか、承認当初、添付文書の警告欄への記載がなかったのは問題ではないかなどを追求していました。
添付文書の警告表記についても当初から行われていれば、副作用死を防げた人もいたかもしれません。その部分に大きくかかわるのが、副作用症例の検討ですので非常に大きな争点です。証人も尋問中、この副作用症例の検討については歯切れ悪く話が進まないようでした。また適応外の人への使用については医療現場の問題であるという発言があり、大変複雑な思いにかられました。
日常のあわただしい業務の中で、短時間で薬剤の情報をつかみ使用が適切であるのかチェックを行うのは非常に大変です。その時の頼りとなる添付文書があいまいであったとしたら、どうでしょうか?また、適応外だと判明しても、一縷の望みをかけて使いたいと切望される患者さんを前にして私たちは何といえばよかったのでしょうか? イレッサは現在も発売されており、治療効果のあった患者さんもおられるので、現場での悩みは続いています。
傍聴の報告集会で、薬害を語るのにイレッサを引き合いに出すことが多いと話されていました。いま現在、もっとも矛盾をかかえているためだそうです。今回もイレッサの副作用被害にあわれた原告のかたが参加されていました。東京からも来られています。原告の方を前にして、私たちが現場でできることは何か、薬害を起こさないように自分たちができることは何なのか考えないといけないと思いました。
あおぞら薬局