「医薬品産業ビジョン2013」に思うこと

先週、厚労省は「医薬品産業ビジョン2013」を発表しました。
「医薬品産業ビジョン」とは、国としての医薬品産業をどう育成していくかの政策であります。最初、2002年に発表されましたが、それでは製薬企業を新薬開発、ジェネリック専門、OTC専門などに区別して育成する方針でした。その5年後には「新ビジョン」が発表され、世界の新薬開発に参入できるメガファーマへの育成や、ベンチャー企業の掘り起しなども盛り込まれました。この間の製薬企業のM&Aは、それらの政策の反映でもあると私は思っていました。
今回のビジョンでは、過去10年間の政策から180度変わったものになっています。以下、本文の一部を紹介します。
...前略... しかし、先述のように、今後の医薬品産業は、過去に正解のない領域に入ってくると考えられるので、どの機能に力を入れることが最終的に正解かという答えは現時点ではなく、その時の状...況に適した企業が生き残る「適者生存」という形になるだろう。企業がどの機能を重視するということは、各々が得意とする技術や規模等に応じて、あくまで各企業が考え、選択するものである。

...後略...

というものです。
「適者生存」という文言が出たことには大いに驚きました。
ダーウ
ィンの進化論ではあるまいし、国として医薬品産業を司る厚労省が使う言葉ではないように思います。
要するに、私の理解では、国としてもこれからの医薬品をめぐる国際情勢は混沌としており判断がつかないので、各自製薬企業の努力で頑張ってください。というものかと思います。しかし、その一方で産・官・学の力を合わせて「日本版NIH」を成功させたいとも言っています。
いずれにせよ、過去10年間の政策に対する総括をきちんとせずに、いきなり「適者生存」を呼びかけるのはいかがなものかと、つくづく感じた次第です。

廣田憲威

Date : 2013年7月 2日 08:03 |Category :薬剤師一口メモ |ページのトップへ

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